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Nyepi(ニュピ)「静寂の日」から学ぶこと

インドネシアのバリ島には、
Nyepi(ニュピ)という日があります。
3月にバリ島を旅したことがある方はご存知かもしれません。

Nyepi(ニュピ)の日は、バリ島全土で「火」を使うことを禁じられるのです。
「労働」と「殺生」と「外出」も禁止。

「火」を使わないということは、
電気をつかわない。
飛行機、自動車、バイクは使用禁止。
テレビ、ラジオの放送も停止。
インターネット、パソコン、電話はつながっていますが、
バリの住人は使わないというお約束です。
さらには、24時間外出禁止。
火を使えないので料理もできません。
多くの大人は断食と瞑想をすると聞きました。

Nyepi(ニュピ)は、バリ・ヒンズー教のサカ暦のお正月にあたる日です。
毎年3月頃の新月~月の出ない暗い夜~の次の朝から1日がNyepi(ニュピ)となります。

私がこのNyepi(ニュピ)を知ったのは、
ダンスの作品を創っているアーティストの北村明子さんが、
インドネシアをテーマに作品づくりをされていた時です。
スタディグループをつくって、インドネシアのあれこれについての勉強会をしました。
その際に、映像人類学者の村尾静二さんから、
Nyepi(ニュピ)の不思議な時間について教えて頂きました。
21世紀の現代社会において、一つの島丸ごと「停止」するということに驚き、
絶対に行ってみたいと思いました。

私が行ったのは、外国人旅行者が多く集まるUbdu(ウブドゥ)の町です。
Nyepi(ニュピ)の前日は、彼らにとっての大晦日。
昼からお祭りの準備で楽しげでした。
子供たちは、真剣に山車の準備をするお父さんたちを頼もしげに見ていました。
女の人は、民族衣装を着て、
うず高く飾られた鮮やかな花や供物の乗ったお盆を頭に乗せ、
お寺に届けていました。(みんな美人に見えます)

そして日が暮れると、オゴオゴ合戦の始まりです。
バリ島の村々で、住民の手作りの怪物の山車を引いて、
道路を練り歩き、四辻に集まるお祭りです。
工夫をこらした大きな張り子のお化けが、ライトアップされ、
バリの民族音楽と掛け声と人込みの雑踏で大騒ぎをするのです。
そして、夜も深まりお祭りも終わると、街路灯が消され、
一変して静かで真っ暗な闇の世界になります。

日本の大晦日の夜、テレビの前にかじりついていることと比べると
なんと豊かな時間でしょうか。

Nyepi(ニュピ)の日は、空港や港が閉鎖になるので、
旅行者もホテルから出ることはできません。
さすがに食事は出ますが、明かりは暗くして、静かに過ごします。
翌朝は、どんなに静かなのだろうかと想像していましたが、
意外にも鳥や猿や犬の鳴き声のにぎやかさに驚きました。

ホテルの人に聞くと、
Nyepi(ニュピ)は、家族が一緒に過ごす日なのだそうです。
出勤すると母親に怒られたり、父親がさみし気になるそうで、
スタッフは毎年交代で働くのだそうです。
Nyepi(ニュピ)の日にも、
赤ちゃんが生まれたり、人が亡くなったりするので、
救急車と警察は、静かに動いているようです。

日本では不可能かもしれないけれど、
何か、人間や仕事や社会の原点に立ち戻れるような時間と空間でした。
2017年は3月28日。
観光できないのに行っても仕方ない、という人が多いので、
ホテルもすいていて安い時期なのでおすすめです。

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